介護報酬の中の『食費』が上がらない。
令和7年6月29日
2024年の介護報酬改定で、本体についての若干のアップと共に、標準基準額の『居住費』については1日あたり60円のアップがなされたのですが、『食費』については0回答だったのです。私はその事を聞いた瞬間に「全国老施協の代表は、参加しているのに何をしているのだ。」と怒りにも近い感情を持ちました。「だってそうでしょ。色んな物が値上がりしているのに、食費が上がらないと言うのはどうしてなのか」と。私はその理由が知りたくて全国の会議で聞いた結果は「施設においての食費の単価が上がっていない根拠を、国から示された。」との事だったので「現実的にはありえない事だけれども、国は根拠を示しているのであれば、どのように対応したら食費を上げないで行けるのかの実態を明らかにすべきではないか。」と言う事で実態調査がなされて、その実態が明らかになりました。
その実態は私に言わせると「考えられない事が、なされている」と愕然としました。具体的に言うと①牛肉・豚肉の提供を減らし、鶏肉使用の回数を増やす。生魚を減らし、安価な白身魚(特に深海魚)や外国産の冷凍魚に変更する。野菜は冷凍野菜を使用する。②大量発注や賞味期限が近い食品を仕入れ、単価を安くする。③切り身の大きさを小さくする。④行事食をなくす。などの涙ぐましい努力がされている実態に、私は「入居者さんに不利益な事をするのが正しいやり方か」いみじくも、生活保護費の減額は違法だとの判決が出たのも当然の結果だと思ったしだいです。
2021年8月の改正で、食費の単価は一日に1445円に改正されました。それから3年8カ月経過した物価指数は、食糧費が23.5%だと統計局のホームページに掲載されています。ちなみに生鮮食品以外の割合は11.1%と言う事ですので、どんどん生鮮食品が特養の食事から無くなっていくのが分かります。全国老施協が2024年6月に調査した結果、利用者一人あたりの食費は1753.8円と言う事で、1445円との開きは308.8円との事で、昨年6月以降も米を中心にして多くの物が値上がりしていますし、食費の中には人件費も光熱水費もあるわけで、各事業所の努力だけでは抱えきれる状況では無いのです。
来月には参議院選挙があり、与野党共に賃上げをアピールしていますが、根拠なくアピールしても『武士は食わねど高楊枝』等と言うわけにはいかないので、現実を直視した制度設計をして頂きたくて今回のコラムにさせて頂きました。多くの声援とご理解をお願い致します。











