トランスファーの有効性について語ります
トランスファーを実施しないでいわゆる『垂直移動』(相手の方の腰辺りを両手で持って立ち上がらせる)は介助する側の腰にかかる負荷は相手の方の体重の10倍から12倍と言われています。つまり相手の方の体重が50㎏だとすると500㎏~600㎏だと言われています。「えっ、そんなに」と思われる方が殆どだと思います。当然ながら1回実施しただけでいきなり腰が痛くなることはありません。
しかしながら、本部施設においては110人、和合においても98人の入居者さん、利用者さんのお世話をさせて頂いていて入居条件が『要介護3以上』の方になってからは車椅子を使用されている方が殆どで、3度の食事の他にトイレ誘導や介助の時に多くの方に垂直移動を繰り返し毎日実施していたら腰痛にならないのが不思議だと思いませんか。
良く言われる質問に「いちいちスライディングボードやスライディングシートを使用していたら時間がかかってしまって業務が回らない。」と言われます。そのように言われた時に私は「腰を痛めてしまったら治療に多くの時間がかかるし、治療している間は他の職員により負担がかかります。ましてや腰痛の為に退職するような状況になってしまったら取り返しがつきません。」
移動・移乗にリフトを活用する方法もあるのですが当法人も理念の中に「寄り添いケアの充実」があり、トランスファーを駆使して入居者さん、利用者さんとの信頼関係をより密にする。と言うのがあり、『ノーリフトケア』を推奨していたのですが、形骸化されている現状を理解したいま、トランスファーを展開することによって職員が「楽に対応でき、楽しく介護が出来る」と思って貰える様な展開になる様に研修も密度良く実施していきたいと思います。
当法人には吉澤施設長の様に先駆的に実施してしっかりとした現場に基づいた指導が出来るのは私に言わせると「トランスファーに現場の状況を取り入れた日本一の指導者」と私は思っていますので、必ずや成果を出してくれると思っています。但し、もう少し早くに私自身気が付き、気が付いた段階で職員任せにしていた分、今は『阿修羅と化す』で高熱から治癒した体に鞭打って頑張って成果を出していきたいと考えています。