理事長コラム

児童養護施設で子どもたちから教えて貰った事

令和2年3月19日

福祉の『ふ』の字も知らずに飛び込んだ児童養護施設での13年間では子どもたちから多くの事を学ばせて貰いました。その事を思いつくままに今日は書いてみたいと思います。私が入職して初めに感じたのは、「小学生はどの子も人懐っこいな」と言う事でした。そして何日かして思ったのは「親の愛情が希薄だったんだ。」と思うと同時に「私が少しでも甘えて貰える存在になれないか。」と言う事で多くの時間を子どもたちとの接点を持った対応を心がけました。

昨日も書きましたが子どもたちの殆どが『学習遅滞児』だと言う事です。その理由を子どもたちとの接点を持つ中から理解しました。結論は子どもを育てる側の親に子どもの『勉強』に全く興味を持っていないと言う事です。例え話をします。【小学校に入学して生まれて初めてのテストとして漢字テストがありました。『一』『二』『三』『川』『上』『口』『木』等習った漢字20文字位の中から10問が出題され、生まれて初めてのテストで全問正解して100点を取り、答案用紙一杯に大きな大きな花丸を貰い、嬉しくて嬉しくて、お父さんお母さんに褒めて貰おうと飛ぶようにして家に帰るとお父さんとお母さんが夫婦喧嘩の真っ最中。

そんな事はお構いなく子どもが「父ちゃん、母ちゃん100点取って大きな大きな花丸貰ったよ。」と言ってもお父さんもお母さんも全く反応なし。それにもめげずに3回程お父さんとお母さんに訴えたら、ようやくお母さんが子どもの方を向いて「今はお父ちゃんと大切な話をしてるのであっちに行っといて。」と言われて子どもは認められなかった褒められなかった事にイライラ、モヤモヤ。こんな事が何度か続くと子どもの学習意欲が無くなり、ましてやこのような親であれば、子どもの勉強の確認などしなくて、子どもは親の確認印等を勝手に押す知恵だけが働く事になる。】小学1年生の1学期に入所した子がいました。その子は全く字が書けなくて、たどたどしく何とか50音が読める程度でした。

最初は自分の名前が書けるようにと練習するのですがなかなか書けない。来る日も来る日も根気よく練習しました。何とか半分ほどのひらがなが書けるようになるまでに2週間を要したので後の半分も2週間かかると正直うんざりしていたのですが(あまりに根気がいる事だったので)後の半分は5日で書けるようになったのには正直驚くと共に『学習にはバイパスあり』を身を持って理解する事が出来ました。1年目の年の瀬に大掃除をすることになったのですが私は掃除の要領が分からず寒い日だったのでズボンのポケットに手を突っ込んで見ていたら、経営者の方から思いっきり怒られました。

でも、やり方が分からなくて出来ないのは教えて貰わないと出来ないとの反発心もありましたが、少しずつ中学生がしているのをみて出来るようにして1年後の大掃除は指示が出来るまでに成長しました。(少なくとも手をポケットに入れる暇はありませんでした。)小学6年生の男子4人を指導した時の話です。4人の中で体も大きく運動神経も良くリーダーシップが取れる子がいました。

私はその子に厳しく指導する事であとの3人はついてくるとの安易な指導をした事がありました。ある日、いつものように彼を厳しく指導していたら突然彼が泣きながら「どうして僕ばかり注意するの」と詰めろって来た時には、私の手抜きの指導を見破られたと恥ずかしくなると共に、バランスの良い指導をしなくてはいけない事を教えて貰いました。(彼は高校を卒業するまで随分私を助けてくれました。)

リピーターの皆さん、13年間の出来事と言うと語りつくせるものではありませんが、私を育ててくれた時代の事ですので機会があればまた書くことにします。