理事長コラム

最近の大相撲の記事を見て

かつて、「巨人、大鵬、玉子焼き」と言われた時代やハガネの様な体で別名「ウルフ」と言われた「千代の富士」がいた頃、あるいは輪島や朝青龍がいた時代は『絶対王者』的な存在がいて、例えば千代の富士が負けた時には座布団が多く土俵に投げられて盛り上がったものですが、その様な場面が殆ど無くなっているのではないかと思います。

『思います』と書いたのは大相撲をテレビ観戦する事も無いからです。

実際の情報は新聞だけですから座布団が乱れ飛ぶ情報は当然無いのですが、多分座布団が飛ぶ様な事は今の大相撲の状況では無いと思います。

絶対王者の様な横綱や大関が負けた時には大番狂わせ等と大騒ぎだったのですが今は大関であっても前頭の下位の関取に対しても負けてしまう事が度々あり「本日は大関が全員勝って安泰でした。」と言う日が数える程と言うのが現状なのです。

特に際立つのは今場所で綱取りを期待されていた琴櫻関が綱取りどころか負け越したのには驚きを通り越す出来事だと思います。

但し私は琴櫻の名跡を祖父から受け継いでのプレッシャーは想像以上で負けが重なっていく中で前向きな闘志が失せてしまっているのが理由ではないかと思います。

今の大相撲は下剋上の様な時代に入っているのだとも思います。

具体的に書きます。

昨日の取り組みから私なりに理解している事を書きます。

前頭14枚目(下から数えて4つ目)の金峰山が2敗でトップだからとは言えまた横綱の照ノ富士が引退したとは言え大関琴櫻との『結びの一番』での取り組みが組まれ、しかも前頭14枚目の金峰山が大関琴櫻に勝利すると言うのをどの様に理解したら良いのか。

絶好調の前頭14枚目とは言え、場所前には綱取りが予想されていた大関琴櫻に勝てるとは誰もが想像だにしていなかったと思います。

勝負の世界はこのくらい厳しいもので相撲取りは常にどっしり構えているものと思いましたが、改めて『メンタルの強さ』が必要かと言う事が良く理解出来ました。

つまり、『絶対王者』は『心技体』が揃っていなければなれないと言う事を痛感すると共に、『心』についての強さを持った力士がいなくなっている証しだとも思いました。

何故なら波に乗っている時は連勝するけど一旦負けが込むと力を発揮出来ない。

つまり「あんなに簡単に勝てていたのにどうして今は勝てない」またその逆もありで・・・。

相撲の世界など殆ど知らない私が知ったかの評論をしましたが、最後に琴櫻関には来場所に立派な成績を残しカド番を難なくクリアして正に心技体の充実した力士になって貰って日本の国技を日本人に取り戻して貰いたいと思っています。

ちなみに2敗でトップを走る金峰山はカザフスタンで、3敗の大関豊昇龍はモンゴルで、霧島もモンゴルなので、今場所については3敗で追走している王鵬(東京)尊富士(青森)に何とか頑張って貰いたいと思っています。