理事長コラム

NHKの番組での岸田総理の発言を聞いて

令和6年1月7日

物価高騰と賃上げの話が出た時の発言の中で、岸田総理は「物価高騰以上のたくましい賃上げにより、経済に弾みをつけて行きたい。」的な発言がありました。この話を聞いていて岸田総理は「何処を見てこのような発言をされているのか。」と怒りに近いものを感じてしまいました。

確かに極一部の企業の中には多くの黒字を出し、設備投資と共に賃金アップを難なく実施している所もあるように聞いています。しかしながら、設備投資をする余裕など無いし、賃金アップを実施したくても出来ない企業も多く存在する事も事実です。ましてや公定価格での収入しかない介護業界におかれては、2%に届かない介護報酬改定では、物価高騰に対応したあとで賃金アップをどの様にしていくのか頭が痛い話しです。また、いわゆる働き方改革と言う耳障りの良い言葉で、公共団体が範を示せとばかりに年末年始の長期休暇を誇示するような報道もなされていました。

公共的な所は「休みです。」との情報提示をするだけで大丈夫なのでしょうが、当施設の様に入居者のお世話をしている事業所は文字通り、年中無休の24時間体制でお世話が出来る体制をとっていかなければいけない事業所です。つまり「やりたくても、出来ない話し。」なのです。「だったら、条件の良い所に転職すれば良い。」との考え方が浸透すると、益々人材確保が難しくなる悪循環が起きるのです。「休日もままならないで、賃金評価も低い状況」で介護業界が成り立っていくのでしょうか。

昔ばなしに「姥捨山」と言うのがあり、国は介護事業所を「姥捨山」的な存在で良いと考えているのでしょうか。西暦2000年4月から特別養護老人ホームは措置から契約になりました。それに伴い入居者一人ひとりに対してケアプランを立てて「その人に合った生活」を約束しました。しかしながら、現実にはその実施が難しい状況になっていることを、厚生労働省の官僚の方も政治家の方も理解されているのでしょうか。勿論厳しい状況であっても出来るだけの事はしていかなけれいけないので頑張っています。

リピーターの皆さん、この様な状況を理解して頂き介護事業の評価が少しでも良くなる様にご理解していただけると幸いです。