全国老人福祉施設研究会議高知会議
全国老人福祉施設研究会議高知会議に参加して 佐藤 八千子
<はじめに>
主催者発表の参加者2200名で高知市は膨れ上がった。全体会は10月17日 高知県立文化ホール、分科会6つに分散し、各会場で行われた。本会議のメインテーマはKAIGO×Possibilityー「未来型老施協戦略]-介護の可能性である。
<全体会>
1.基調報告:老施協理事・統括部長 瀬戸雅嗣氏「介護報酬改定と私たちのなすべきこと」から、今後の指針と なったことを列挙する。
- 伴走型介護とは自立支援介護のことである。
- 自立支援の介護とは、「自己実現」であり、その人らしい生活を送ることができる社会づくりが必要である。
- 心身機能(要介護度)の改善以外の評価案と、して、ICF((国際生活機能分類)の概念に基づいた「活動」および「参加」の領域について改善・達成度を数値化したデータを集約する。
つまり、自立とは身体機能だけでなく、社会生活、尊厳の保持を含めた状態像の改善を指す。本人が望む生活の実現=QOLの向上を持って評価対象とすべきである。本人が望む生活の実現に必要な視点は一人ひとりの状態像の数だけある。
つまり利用者本位ということになり、まさに本施設で取り組んでいる個別の介護計画+個別化の視点を重視してしっかり落とし込む必要がある。そこで、本施設においてICFの枠組みを一応呈しているが、理論的な部分はまだまだ弱いので、研修の機会を設ける必要があると感じた。
2.記念講演:医療法人社団悠翔会理事長・診療部長 佐々木淳氏「自立支援~・看取りまで」からの学びをまとめる。
- ICFでは医学レベルから生活レベルと言われる。医療・介護・地域は「環境」として、その人の生活や人生を実現する。つまり、高齢者に最適化した医療、予防医療構造が変化したら医療自体も変化する
- 特に薬と転倒リスク、治療しない方が予後良好、高齢者の薬物療法における薬の種類、服薬回数、入院によるリスク、肺炎も骨折も原因は同じ、高齢者への食事制限? タンパク制限? 塩分制限? さらに、低栄養,筋骨量の減少、食止めの話などはエビデンスがあり納得できた。
- 看取り援助においては、施設が看取りの時代になっている。その際、どの時点で医療を卒業するのか、社会とのつながりと死亡率との関係、高齢者の孤食と死亡との関係など興味深い内容であった。
<分科会>
1.午前中は、第1分科会③<伴走型介護の確立とエビデンスに基づくケアの実際」
当施設課長 西川裕子は、「生活史とこころを探るケアー伴走型介護による自立支援を求めて」というテーマで、生活史を語る支援の重要性と、入居者の肯定的な自己形成と自尊感情を引き出し、伴走型介護により要介護4から要介護2と至った例を発表した。
2.午後は、第1分科会⑥「伴走型介護の確立とエビデンスに基づくケアの実践―口腔ケアの実践」
当施設歯科衛生士 廣瀬絵里佳は、「一人の入居者を皆で支えるー口腔ケアから始まる食支援」というテーマで、職員の意識調査と他職種連携によるカンファレンスと取り組み、家族の協力による口腔ケアの実践、追跡アンケートなどで、ゼリー状を食するまで至った事例を発表した。
<おわりに>
当施設の2人の発表に至るまでの努力は、日頃のケアの場面をそのまま映し出している。まさに今回の研究会議のテーマである「伴走型介護による自立支援の実践」を日々重ねているので、素晴らしい発表ができたと思う。本当にお疲れ様でした。他施設の賞をいただいた発表から学んだ事は、毎日の積み重ねはエビデンスがあるケアと、何のためにケアをするのかという目的を明確にしたケアを行い、その総まとめが発表に表れるということを痛感した。職員みんなで来年度まで地道に努力をしていこうとこころを新たにした。
最後になりましたが、このような機会を与えて頂きました事心より感謝申し上げます。