平成29年度 第2回認知症実践者研修報告書①
デイサービス:野村 有美香
6月7日~6月9日と6月27日~28日の5日間にかけて、大垣の情報工房おいて認知症実践者研修が開催され、参加しましたので報告します。
研修の内容としては以下の内容を学びました。
- 認知症ケアの基本的視点と理念 高齢者施策と認知症実践者研修の位置づけ
- 認知症ケアの理論
- 認知症の人の権利擁護
- 認知症ケアの基本的理解と理念
- アセスメントとケアの実践の基本Ⅰ
- 認知症の人の家族への支援方法
- 認知症の人の理解と対応
- 認知症の人への介護技術(行動・心理症状)
- 認知症の人への非薬物的介入
- 認知症の人への介護技術(食事・入浴・排泄など)
- 認知症の人の生活環境作り 社会資源の理解とケアへの活用
- 認知症の人とのコミュニケーションの理解と方法
- アセスメントケアの実践の基本Ⅰ・Ⅱ(実例演習)
- 自施設における実習の課題設定 生活支援の方法
今回の5日間の研修の中で、普段の業務の中で自分の認知症の方に対する関わり方が、まだまだ不十分な所や、業務中心になってしまっているところがたくさんあると振り返ることが出来ました。
どんな方に対するケアにおいても言える事ですが、認知症の方に対するケアは、普段の業務の中でやってしまいがちな介護者主体のケアではなく、本人主体・個々の状態などに合わせたケアを基本的な考えにする必要があります。そのケアに置いて大切な考え方が、「パーソンセンタード・ケア」というもので、認知症を病気としてとらえるのではなく、認知症を抱えた「人」という考え方で、その人自身を理解する視点がとても大切であるという事です。本人の生き方を支える中で、それに伴う危険に対して、専門職全体で関わりを持って行く事が私たちの大切な役割となります。
認知症の理解を深める中で、「認知症」というひとくくりで考える事はせず、アルツハイマー型認知症など、それぞれの種別に応じたケアを組み立てていく事が大切となります。しかし、同じ種別であるからと言って、皆がみんな同じことを感じるとは限りません。病気を持つ人ではあるが、一人ひとりの周りの環境や、その人の生活歴なども含めてケア方法を考えていく事が必要です。
私が5年ほど前に認知症の周辺症状について学んだ際は、周辺症状=問題行動ととらえていました。しかし、認知症の方の周辺症状には、どれもしっかりとした理由があるはずです。こちらの思いが上手く伝わらず、行動に移せない事が「介護拒否」ととらえるのではなく、その背景を考え、どうその方に関わりを持つべきか、行動一つひとつに対しての意味を考え、本人の立場に立って考える事が大切となってくるのです。そのために情報収集、アセスメントを行っていく必要があるのです。
専門職として、認知症の方に関わる中で、本人だけではなくその方のご家族との関わりも、とても重要です。専門職の思う「家族」という考えを押し付ける事は絶対にせず、家族も含めて、どう支援していくのかご本人を支えるメンバーの一人として家族をとらえていく考え方がより良いケアに繋がっていくのです。
認知症の方の生活環境づくりについて考える中で、目の前にいるご本人の現状把握をするだけでは、何もその人らしい環境作りを行っていく事は出来ません。そこにプラスして、これまでのその方の暮らしぶりや、ご本人にとって大切な人・物・場所・関係性など含め幅広くとらえる必要があります。そして、そのすべてを、出来るだけ全て繋げ、理解者を増やしていく事で、その方の本当のニーズに近づいたケアが可能になっていくのではないかと感じました。
今回学んだことを、これからのケアに活かしていけるよう、いつもその方の置かれている状況を、その方の立場に立って物事をとらえていくところから、改めて意識していきたいと思います。